A-2.妙澤不動 売約済





 
 

サイズ 本紙 縦1028o、横468o、表具 縦1910o、横635o ※軸端を除く

紙本、木版彩色、江戸時代

鎌倉時代後期〜南北朝時代の臨済宗の僧 龍湫周澤(諱は妙沢澤1308〜1388))の描いた不動明王図を木版にして手彩色した品です。

周澤は自らを妙澤と名乗り、晩年の20年余りにわたり、一年のうち百日一日一枚の不動明王図を描くことを自らに課していたといわれます。
それらの不動明王図は霊験あらたかと評判を呼び、の在世中に木版が開版され版画が摺られたことが知られており、肉筆、版画を合わせると夥しい数が作られたと言われます。

ご案内の品は妙澤没後に制作された品で妙澤の肉筆に近い図像、サイズで制作されたものです。
妙澤不動の彩色版画は数多く残されていますが、古い作例は淡彩色で版の墨線を活かした作風で、時代が下るほど彩色が厚塗になる傾向にあります。
ご案内の品は腕飾りに金箔押しが見られるものの、全体に淡彩色で頭髪や眉毛は木版の墨線をそのまま残しています。
そのような傾向から、淡彩色(中世)→厚塗り(近世)のあい間、過渡期にある品と判断します。

保存状態は細かい折れ、シワがあるものの概ね良好で、このまま問題なく掛けることの出来る状態です。
表具は輪宝、羯磨文の裂地に古い金襴、鍍金の彫金金具が合わせてあります。箱は古い桐箱入りです。