C-5..廻国納経 金銅円筒形経筒(永禄四年在銘) 売約済
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正面の刻字右から ※現代の字体に置き換えてあります。
十羅刹女 淡州之住呂 賢順
梵字(バク) 奉納大乗妙典 一国二部聖 、聖の文字の右に第二、左に度
三十番神 永禄四年今月日
墨書の痕跡が見られますが、判読できません。
他に画像では確認できませんが、針で引っ掻いた文字で「三十」或いは「十三」と書かれています。
サイズ 高さ 101o、直径 45o(胴部分)
金銅製鍛造、彫金、永禄四年(1561)
室町時代の後期、六十六部廻国納経のために作られた金銅円筒形の経筒です。
六十六部廻国納経とは、法華経を書写して廻国聖に託し、全国六十六カ国の霊場に奉納したもので、その流行は鎌倉時代に始まり、室町時代に隆盛を極めたと言われます。
廻国納経の経筒は円筒形、六角形を合わせて、全国で400余りが発見されていると言われます。
その中で六角宝幡形経筒の数は30基から40基が存在し、現存数は円筒形の方が多いようですが、コンディションの悪い品が多く含まれます。
ご案内の金銅円筒形の経筒は、正面に梵字と納経の趣意の刻字、蓋に木瓜文に似た文様が刻まれ、全体は良質な鍍金で覆われています。
作りは薄い銅板の鍛造で、廻国聖が笈で持ち運ぶことを前提に極めて軽量に出来ています。
現状は中身の経が失われていますが、破損個所は皆無で、およそ460年余りが経過してもなお、良好なコンディションを保っています。
鍍金の摩耗具合は伝世品のような質感になっています。
藤原道長が末法の世を憂いて金峯山に納経してから500余年、納経の趣意が個人的な請願に変化したもので、最後の経筒と言えます。